病院連携型ホスピス住宅
ホスピス住宅は、がん末期患者に対して高度な看護技術が必要な緩和ケアを、看護師が中心になってオペレーションを行うので、介護の領域ではなく医療の領域になる。これは、がん末期患者を受け入れて、病院と同じレベルの緩和ケアサービスを実際にやってみると実感する。スキルの高い看護師を採用する事ができるかどうかがホスピス住宅の成功を決める。
スキルの高い優秀な看護師に「必要のない訪問看護」の指示を出しても離職に繋がるだけで、不正請求に繋がるような業務指示は看護師から拒否されるはずだ。不正請求に繋がる運営を行なっているホスピス住宅は、その事実だけでも看護オペレーションの質が保たれていない事が分かる。
介護事業者が、今までの介護サービスの延長線上で新たにホスピス住宅の運営に参入しても、医療領域である「がん末期患者への高度な緩和ケアオペレーション」を構築するのは、非常にハードルが高い。
看護師と介護スタッフとのチームアップにも慣れていないので、最も重要な医療・介護のオペレーション連携がうまくいかないケースが多く、介護事業者がホスピス事業にチャレンジしても元々の医療リソースがないので成功するのは難しい。
前職では、アライアンス先の医療機関と連携して、「病院連携型ホスピス住宅」のモデルを採用して、病院と連携しながら看護師の採用を進めた。それでもスキルの高い看護師を短期間で採用するのは大変だった。
しかし、「医療法人でしか出来ない事」と「民間企業でしか出来ない事」の役割分担をして、民間企業としては、在宅医療と緩和ケアをテーマにした「ピア~まちをつなぐもの」の上映会を医療法人の協賛という形で地域の医療・介護関係者向けに開催し、地域の医療・介護関係者の多くの参加があった。医療法人側では、アライアンス企業が病院敷地内にホスピス住宅を新規開設することを広く地域の医療関係者に告知してもらい、看護師の採用にも協力してもらった。
地方都市でのホスピス住宅開設だったが、人口が減少して外来患者も入院患者も減少傾向にある地方都市で、地元の医療機関と協力してホスピス住宅の新規開設ができたことは、元気のなくなってきていた地域医療の底上げにもつながることを実感した。